【千葉市】新型コロナ重症化リスクを血中の‟たんぱく質”で予測可能へ、千葉大学病院が発表
千葉市中央区の千葉大学病院は、血液の中に含まれる特定のたんぱく質の濃度が、新型コロナウイルス感染症の重症化と入院日数に関係するという研究結果を、2022年8月1日(月)発表しました。
特定のたんぱく質の名前は「Myl9(ミルナイン)」、血液中の血小板の中に含まれるたんぱく質で、2016年喘息などの重度のアレルギー疾患のメカニズムを解明する研究の中で千葉大学病院の研究グループが発見しました。
今回、千葉大学病院の発表によると、新型コロナウイルス感染症で死亡した患者(8例)の血管を調べたところ、新型コロナウイルスが肺血管を傷つけ、内部には血栓が生じていました。その血栓を調べたところ多くのミルナインが付着していました。
そこで新型コロナウイルス感染症で入院している患者(123例)の血液を調べると、やはり血液中のミルナイン濃度が上昇していることが判明。敗血症や心臓血管手術をした患者と比べても高い値でした。
血液中のミルナイン濃度が高いほど患者の容体が重く、入院日数も長くなるということが分かったことで、患者のミルナイン濃度の測定が重症化予測に役立つことが示されました。今後の展望として、ミルナイン測定キットの開発も考えられています。
また、前述の2016年の研究発表によると、ミルナインは炎症に伴って血小板から放出されると、血管の内側に網目状の足場を作り、喘息等を引き起こす原因分子が肺などの炎症組織に向かうのを手伝うことが分かっています。
千葉大学病院はヒトに投与可能なミルナイン抗体の作成に成功しています。ミルナイン自体が新型コロナ後遺症や重症化に影響を及ぼしている場合、この抗体が新たな治療薬の開発に繋がるかもしれません。
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